出典:国際連合広報センター
2015年9月の国連持続可能な開発サミットで
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」
Transforming for Our World: The 2030 Agenda for Sustainable Development が
採択され、企業のサスティナビリティレポートでも、重要項目の決定に
持続可能な開発目標(SDGs)を考慮し、議論が進んでいます。
2030アジェンダの本文に、 40回出てくるキーワードが inclusive です。
17のSDGsのうち、目標4、8、9、11、16の5つの目標本文で使われ、
目標16では2回も出てきます。
外務省の仮訳では、「包摂的な」。一語であらわすならこうなると思いますが、
わかりにくい印象です。
Goal 4. Ensure inclusive and equitable quality education and promote lifelong learning opportunities for all
外務省仮訳:目標 4. すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
inclusive をもう少しわかりやすく説明すると「すべてを含んだ」となります。しかし、
この言葉をより明快に理解するには、対義語の exclusive とあわせて考えると良いでしょう。
exclusive は「排他的な、閉鎖的な」、権利や所有物について「独占的な」を表します。
英語で vulnerable peopleと表す、貧困層や女性、子どもなど「弱い立場にある人々」は、
教育や雇用の機会、金融へのアクセスなど、社会のさまざまなシステムから排除され、
さらなる貧困など、困難な状況の悪循環に苦しんできました。
inclusive は、non-exclusive、つまり「誰も排除しない」と言い換えると、
SDGsの理解が深まるように思います。
例えば、目標 4は、
誰をも排除せず、すべての人に公正な質の高い教育を確保し、
生涯を通じた学習の機会を促進する
となるでしょうか。
2006年12月に国連で採択された障害者の権利に関する条約第24条にある
inclusive education systemは、署名時の仮訳では「包容する教育制度」ですが、
現在は「インクルーシブ教育システム」と名称を変えて、障害の有無にかかわらず、
あらゆる人が自らが生活する地域で、一緒に学ぶ機会を得られる教育システムを目指しています。
将来へのビジョンや目指す目標には、ネガティブな言葉はほとんど使われません。
しかし、そこに込められた意図を理解しようとするとき、ときにはその背景となっている
「影」の部分を見つめることも重要です。
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