Photo by CJ Anderson
少子高齢化が先進国の課題とされてからずいぶん経ちます。
英語では、様々な表現方法があることを以前のブログでお伝えしました。
先日、大手再保険会社スイス・リーのSwiss Re 2014 Corporate Responsibility Reportを改めて読み込んだ際に、同社の事業ソリューションの1つに、Fund longer lives が挙げられていることに、興味を持ちました。
企業の社会責任をどのように果たしていくかを考える時、
社会の課題や現状を、自社の事業と結びつけ、
その解決や改善に貢献する方向性を目指すことは、
企業の持続可能な経営と成長を図る上でも有効です。
Fund longer lives は、「長い人生に資金を供給する」。
これまで高齢化は、労働人口の減少や将来世代の負担増といった
影響ばかりが前面に出されていたように思います。
スイス・リーのレポートでは、より現実的に個人や社会の問題として捉え、
いかに解決していけるかを伝えている印象です。
例えば個人の側面では、健康医療/生命保険は、死亡や病気の際の経済的な安定、
医療へのアクセスの提供、退職後の頼りになる収入をもたらすことができるとし、
社会の側面では、同社は2014年、イギリスの保険会社アビバの社員向け年金機構と
longevity transaction(長生き契約)を行い、会員が想定よりも長生きであった場合に、
契約通りに年金を支払うことができなくなるリスクを補償する、とあります。
英文の表現について、興味深かったのは、
高齢化人口/社会(ageing population/ societies)は、計6回しか使用されておらず、
「長生き、長命」を表すニュートラルな表現の longer livesは13回、longevity は21回でした。
longer lives は同社の重要テーマで使われているため、当然頻出しますが、
それを割り引いても、全体として読者が受ける印象はより現実的で前向きなものになるのではないでしょうか。
英訳の際に、文脈に応じてlonger lives、longevityを取り入れていこうと考えています。